ー前置き
私は現在、祖母と一緒に暮らしている。
住まいを離れ、祖母の実家に居候するのだ。
1ヶ月おきに出向き、祖母の生活を支える。
洗濯や料理、掃除といった家事全般を1人で完結させ、買い物には近場のスーパーやコンビニに直行する。
足腰の弱い祖母は、いつ倒れるかわからない。
ぎこちない足取りで、毎日仕事に出掛けている。
行き先のバーズでは多くの施設を備えているが、いつも混雑しており、賑わいを見せている。
本稿では、私の祖母について語っていきたい。
ー祖父・祖母のあれこれ
私の祖母は占いを生業としている。
本職の占い師のため、タロット占いや四柱推命、手相などはお手のもの、といった感じだ。
以前まではBIRDSに個人のブースを構え、多くのお客さんを占っていた。
その姿を今でも克明に覚えている。
いやはや懐かしい…。眼鏡をかけ、お客さんとアイコンタクトをとる祖母の姿が。
当たり外れなどの確率はともかく、その腕は確かで、これから起こりうる未来や近い将来の出来事についても、ぴたりと当てる。
相当手慣れているのだ。
今はコロナ禍の流れを受け、自宅での電話鑑定にシフトしたが、それでも仕事は途絶えない。
大体1時間くらいで終わるが、稀に2時間を超える長丁場の鑑定になることもあり、過労でダウンしないか心配だ。
このツテもあってか、近所ではちょっとした有名人。BIRDSでは幅広い人脈を持つ。
性格は底抜けて明るく、笑い上戸。ざっくばらんな人付き合いを好み、誰に対しても分け隔てなく接する。
おおらかで、恰幅のいいおばあちゃん。
自己管理は甘いほうで、体重計に乗るときはいつも太ってないかヒヤヒヤしてるという。
太っちゃうことを気にする割には、夜食や間食も多いし、痩せる努力もしようとしない。
昔、医療機関で中性脂肪が40と言われたときはさすがにびっくりしたみたいだ。
おしゃれで、ゴテゴテした装飾やブランドものを好む。
髪型は外にハネた天パで、くるくる状のウェーブヘアだ。
好きな食べ物は、煎餅。それから金平牛蒡。白胡麻と豆腐の和物。揚げ物の惣菜。ナポリタン。
交友関係が広く、1度会った人とはすぐに仲良くなってしまうほど。
ウーバーイーツや宅配便でくる配達員もすぐに友だちに変えてしまう。
それもやはり祖母の人格あってのことだろう。
爽やかな笑顔を振りまき、誰にでもおおらかに接するムードーメーカー的存在。
レストランで沈黙の長い状態が続くと、即座に祖母があいづちを打ったり、話題を振ったりして、宴会の席を盛り上げる。
しかし、祖母の魅力はそれだけではない。
祖母の最大の魅力は、その”優しさ”にある。
病気がちで寝込む私に対しても、遠く離れたルピナスにいつもお見舞いに来てくれていた。
聴神経障害で悩む私の友だちに対しても、「あなたの未来は明るいよ。だから安心してね」と喝を入れて勇気づけていた。
さらには6年前亡くなった私の祖父の告別式の際、大粒の涙を流し、天国での再会を約束していた。
あれだけ本気で泣いてる祖母を見たのは初めてなので、少しショックだったが、人はそういうもんだと思った。
ひとしきり泣いて、悲しんで、人はより強くなる。
人の死に立ち会うのは私も初めてだった。祖父の死はショッキングだったが、そこから内面の成長を感じ取り、より強くなった気がした。
祖父の遺影の前で手を合わせると、そのたびに祖父との思い出が頭をめぐる。
近場のゲームセンターに行ったり、一緒にトランプしたり、ときには喧嘩したり…。
今となっては泣きそうになるくらい良い思い出だ。
この思い出をバネにして、私はもっと強くなりたい。